ろきしの折り紙倉庫

主にオリジナルの折り紙の創作過程について書きます。

折り紙作品 トビウオ

時間のあるうちに過去作をどんどん紹介していきます。

創作: 2023/9

紙: コズピカ クロギン 30×30 cm

つぶらな瞳がポイントです。

 

唐突ですが、下の折り線構成で、鳥か何かを折ってみようと思い立ちました。

とりあえず折ってみます。

トビウオっぽくなりました。うまく胸ビレが作れそうです。

題材をトビウオに決定し、折り直します。ここで尾ビレのカド配置を考え直します。尾ビレの位置の候補は3通りほど考えられます。

最初は①でやっていましたが、造形がうまくいきませんでした。③は完全に左右非対称になるので、工夫しないと見栄えが悪くなりそうです。そこで②を採用します。

ヒレの配分は②でうまくいきました。また、蛇腹を利用して、いい感じの顔の表現が見つかりました。後は胸ビレの仕上げ方を考えます。放射状のヒダを細かくずらして鰭条の表現を試みます。

派手で見栄えはしますが、輪郭がいびつです。また、胸ビレの裏側が汚くなります。

 

鰭条の派手な表現はやめて、被せ折りしてヒダを隠してみました。

輪郭がきれいで、インサイドアウトもできるので、こちらを採用します。

 



完成です!

魚の創作は初めてで、今回は無難な背割れ構造でまとまりました。もっと分子を崩したようなものも作ってみたいです。

折り紙作品 フラミンゴ

創作: 2023/9

紙: ビオトープ 35×35 cm

構造、造形ともに無駄がなくて気に入っている作品です。写真の作品は糊付けなしでまとまっています。

 

折り紙サークルOristのオンライン活動の企画「15分創作」のお題がフラミンゴだった時に作ったものが原型です。↓

鶴の基本形を沈め折りしただけですが、これをベースに十分見栄えのする作品を作れそうな感じがしました。

しかし、このままでは各パーツを作りこむ余裕がありません。そこで、領域付加を考えます。

  • 首を伸ばし、頭を作りこみたい
  • 脚に水かきを作りたい
  • 閉じた翼、尾羽も造形したい

以上の条件を満たすように、下のような拡張を考えました。

対角線とフチに同時にヒダを追加しました。付加の幅は沈め折りの幅と合わせました。

こうすることで、以下のメリットがあります。

  • 首がだいぶ長くなる
  • 脚の長さはそのままで、水かきをつけることができる
  • 紙の中心部にヒダが追加され、翼を折るのに使える
  • 尾羽部分にヒダが追加される

また、単にフチにヒダを付け足すよりもちょっと面白みがあります。

領域付加は神谷哲史さんが解説しています。今回は「多重化」にあたります。

https://www.folders.jp/uc/2021/790/

早速折ってみます。

紙を捏ねくり回した結果、いい感じに情報量がまとまりました。意図せず脚の付け根の表現ができました。

首は長さに余裕があったので、かぶせ折りと中わり折りを繰り返して曲がりを表現しました。

しかし、フラミンゴの閉じた翼は思いのほか複雑な造形をしており、今ある領域でどうすればいいか悩みました。

結局、胴はシンプルに立体化することにしました。実際の翼の重なりは再現できていませんが、非常にすっきりしていて折り紙的にはなかなかいいと思います。

顔の造形も見直しました。

完成です!

水色線は立体化の際の折り線です。

首の曲げ具合や顔の造形はぐらい折りでも問題ありませんが、オリヒメできっちり折りたためると楽しいです。

比率は1 : 4+5√2です。

 

折り紙作品 インドサイ

創作: 2023/12

紙: レザック 40×40 cm

 

インドサイはずっと折りたかった題材ですが、過去に何回かチャレンジして失敗していました。今回ようやく形にすることができました。
腹側も閉じています。

 

今回は頭から作り始めました。とりあえず鶴の基本形から作ります。

紙のフチが背中側に来る、背割れ構造です。

鶴の背中のカドを角に、羽根のカドを耳にしました。

フチの入り方があまりよくなく、立体感もないですが、仕上げでどうにかなると考えてとりあえず進めていきます。

背割れ・腹割れの概念については宮島登さんが分かりやすくまとめています。

https://origami-fantasia.com/907/

 

作った頭を配置して、オリヒメで全体のカド配置を考えていきます。

とりあえずこんな感じです。展開図は左半分のみ描いています。

胴体の面を作りこむために、頭だけ背割れで体が腹割れのタイプの作品にします。この方法は、胴体で面表現をしつつ、頭で辺カドを使いたいときに非常に有効です。橋本遼さんのシロサイ、中村楓さんのスティラコサウルス、神谷哲史さんのウシなどで使われています。欠点は頭に紙の裏が出てしまうことです。

https://www.origamihouse.jp/book/yamaguchi/seitoh/newgen.html

https://origami.jp/magazine/154/

https://www.origamihouse.jp/book/yamaguchi/seitoh/transcendent.html

 

紙を手に取り、オリヒメで描いた折り筋を足掛かりにして折り始めます。

オリヒメでメモしながら折り進めていき、こんな感じになりました。バランスが悪く、全然うまくいっていません。

インドサイを折る上で難しいのは、何枚もの装甲が重なったような見た目の胴体です。下の絵の赤線でなぞったところが難しく、苦戦していました。

ここで、赤線の部分は大きな45°の内部カドを両側で段折りして作れそうだと思いつきました。

 

とりあえず下半身の領域が多すぎて持て余していたので削ります。

この状態で、さっきのアイデアをもとに紙を捏ねくり回します。だいぶ下半身の領域を減らしたので、後ろ足を出すのに苦戦しました。

なんとか胴体を作ることができました。ここまで来れば完成にこぎつけられそうです。

肩や脚の造形を考えていきます。

後はレザックで本折りして完成です!

…顔の造形が微妙に本物に似ていないのが気になります。ここにきて、やはり最初にしっかり練っておけばよかったと後悔しました。

 

顔周りをいじり、胴体の仕上げも見直しました。顔の輪郭やフチの入り方はよくなりましたが、抜本的な改善はできませんでした。

 

完成です!

比率は2 : 1+√2です。

オリヒメの画面はこんな感じです。